支援の「かたち」って、なんだろう?(高橋コーディネーター)

皆様こんにちは!

栃木県よろず支援拠点のコーディネーターで、主にITとマーケティングの分野を担当している高橋 英基です。

ITに関しては、「ITの利活用による生産性向上や業務効率化の取り組み」といった支援を、マーケティングに関しては「商品・サービスが持つ強みや特徴を捉え、一方では市場や消費者志向がどのようになっているのかを判断し、これら2つの関係性を『整える』ことで生まれる『付加価値=売れる仕組み』を模索していく」といった支援を行っています。

とはいいながら、それ以外の相談についても何でもやってます。まさに「よろず」ですね(笑)

昨年だけでも上記以外に「広報・宣伝方法の工夫」「売り方のアイデア出し」「相談者同士のマッチング」「産学連携の模索」「補助金の取り組みテーマとアイデア出し」「新たなビジネスモデル作り」といった事をお手伝いさせていただきました。

まさに、「相談者が持ってくる内容には、ひとつとして同じものはない!」ということが、相談現場では実感できています。

1.支援の「かたち」って、どんなかたち?

栃木県よろず支援拠点のコーディネーターをはじめさせて頂いてから随分たちました。そのような中でさきほど話したように「相談者が持ってくる内容には、ひとつとして同じものはない」状況のなか、それでも何かしらの支援やアドバイスを提供することが、よろず支援拠点の仕事なのかな、と考えています。

コーディネーター業務をはじめたころから、ずーっと支援の「かたち」を模索しています。正直、カチッとしたような「かたち」にはたどりつかない事はうすうすわかってはいます。でも、人って「かたち」を求めたがるんですよね。言葉を言い換えると「スタイル」って言ったほうがもっとしっくりとくるかもしれません。

そんな「かたち(スタイル)」を模索していたなかで、最近わかりやすい「たとえ」を探し出すことができました。自分が考えるよろず支援拠点の支援の「かたち(スタイル)」は、「カップ(コップ)」と「飲み物」で例える事ができるのです。

2.最終的な目的(目的地)はみんな同じ。でも、その手段はみんな違う。

改めて「カップ(コップ)」と「飲み物」で、よろず支援拠点の支援の「かたち(スタイル)」を説明してみます。(文章の便宜上、相談者はここから「お客様」と書き替えます。)

お客様は必ず、自分のお気に入りのカップ(コップ)を持っています。そのカップは形状も材質も、大きさもデザインも違っていて誰一人同じものは持っていないのです。また、器の中に入っている飲み物も、種類も量も違っています。もしかすると飲み物はまだ何も入っていない人もいるかもしれません。そして、お客様はこのカップの中に入っている今の飲み物の状態に、誰も満足はしていないのです。

そこで私たち、よろず支援拠点のコーディネーターがやるべきことは、「カップ(コップ)」と「飲み物」の状態をどう変えていったらいいのか、まずはお客様の満足する形を聞き取り、望んだ状態に変えていくお手伝いをする事だと思います。

「飲み物の量が足りないから足して欲しいのか?」「冷めてしまったから温め直して欲しいのか?」「砂糖を少し入れて甘くして欲しいのか?」「濃すぎるので水を足して薄めて欲しいのか」、お客様の望むもの(手段)は違うかもしれません。

でも実は、ひとつだけ共通している部分があります。

「今の状態では私は満足していない。だから、ぜひこういう状態に変えて欲しい!」という「目指すかたち(最終的な目的・目的地)」は同じなのです。

お客様が本当に飲みたい物を提供すること、これこそが支援の「かたち(スタイル)」なのでしょうかね。相談者はみんな自分のビジネスに「想い」を持っているからこそ、この支援の「かたち(スタイル)」を大事にしたいです。

私がIT分野のアドバイザーを行う時に取得した「ITコーディネータ」という資格では、こんな言葉を何回も繰り返し学びました。「ITは、目的ではなく手段である。目的はあくまでビジネス上で求められた目標を達成する事であり、そこを間違えてはいけない。」

「カップ(コップ)」と「飲み物」の話と同じ考え方の「かたち(スタイル)」ですね。

実はよろず支援拠点で仕事をやっていくと、このことはIT以外にも言えるのではないか、と気づくことが出来ました。そんな「かたち(スタイル)」を大事にしています。

3.「積み上げ思考」と「あっちがだめなら、こっちではどうか?思考」

実はもうひとつ、こんなことも自分の支援の「かたち(スタイル)」にしています。

「積み上げ思考」と「あっちがだめなら、こっちではどうか?思考」です。

「積み上げ思考」は、その名の通り積み木のように一段一段バランスを取りながら、考えを巡らせていく方法です。成長は積み重ねでしか達成できません。

例えばECサイトで商品を販売したいとします。ECサイトを作るお金があって、ECサイトを製作してくれる業者が見つかっても、そもそも会社の中にECサイトをきちんと回せる現場の組織体系が出来ていなければ上手く回せません。(意外とECサイトに関してはスタートした瞬間にこの問題が発生する傾向があります。)何か新しい事をやる際に、うまく成功させるにはどこまでが準備ができていて、どの順番で組み立てていくべきなのか、そこを見極める必要があります。

「あっちがだめなら、こっちではどうか?思考」に関しては、IT会社に勤めていた時に、確か何かのセミナーでのグループワークで出された問題が元になっています。

その問題はこんなものでした。

「あなたが今いる会社のこの部屋(当時の会社は東京タワーの近くにありました)から、新橋駅まで行く方法(手段)を10個あげなさい。ただしそれぞれに『こういう条件があるからこの方法(手段)を選びました!』と、きちんと説明できる事が条件です。」

「新橋駅まで歩いていける距離なので歩いていく。なぜなら経費をかけずにすむから。」

「新橋駅までタクシーで行く。今日は雨。濡らしたら故障になる機械を運ぶのだから」

「新橋駅まで地下鉄で行きます。時間とお客様との合流場所を考えると、地下鉄の新橋駅のA5出口から出て向かうのが一番早く効率的に着くからです。」

持ち時間は確か15~20分だったと思います。結構出せないんですよね、10個の方法。

でも逆にこのような方法(手段)が手持ちで10個あるとしましょう。その場合には、条件に応じて色々な選択肢が選べますね。「あっちがだめなら、こっちではどうか?」意外と、ものの売り方の工夫って、こんな事から来るのではないかな、と思っています。

個人的にはこんな支援の「かたち」を今日もまた探りながら、相談に向かっています。

すごくやりがいのある仕事だと思っています。是非、よろず支援拠点をご利用ください。

次回登場時はガラリとイメージ変え「国内旅行こそマーケティングの最高のインプット!」なんて話をしたいと思います。日本は広くて面白い。そして旅行はいつだって新たな刺激をくれますね!