コロナウイルス第2波到来?!袋麺のすゝめ 後編

前回のあらすじ。
『袋麺』という大陸の、そのトップシェアに君臨し続けた王国がありました。
その王国の名は「サッポロ一番」。
みそ・しお・しょうゆの三兄弟が治めるその国は他国に侵略されることもなく、41年もの長い間幸せに暮らしておりました。さあ、後編のはじまりです。


時は2011年。それはあの東日本大震災が文字通り日本列島に激震をもたらした年。
40年以上停滞していた袋麺市場に、新らしい製法で開発された新商品を引っ提げて殴り込みをかけた会社がありました。

その名も東洋水産「マルちゃん正麺」。

市場に彗星のごとく現れたこのマルちゃん正麺は、生麺を揚げずにそのまま乾燥させる独自の製法・「生麺うまいまま製法」を開発。小腹を満たすためのジャンクフードとして扱われがちなインスタント袋麺を「非常食」から「夕ご飯」へと昇格させ、日本の食卓に乗せたのです。
さらに「マルちゃん正麺」は、CMに役所広司という一見インスタントラーメンを食べるようには見えない俳優を起用し、袋麺のイメージを刷新。
役所広司の『嘘だと思うなら食べてみてください』の呼びかけに、全国の主婦がひそかに従ったことを私は忘れることはできません。まさに日本全国「マルちゃん正麺」化計画。

※こちらのデータはMONEY PLUSさんのホームページからいただきました。

いままでにない「麺」を押しにした製品。宣伝による新しいターゲット層の獲得により、2012年初頭、マルちゃん正麺は、サッポロ一番からシェアNO.1の座を奪い獲ります。
そして年内には2億食を突破。単月売り上げではあのサッポロ一番を追い越し、袋麺三人衆の牙城をついに突き崩します。来たぜ下剋上!
もちろんトップブランドも黙ってはおりません。この年、マルちゃん正麺と近い製法で作られた製品が「ラ王」ブランドとして復活し、日清食品から発売。ここに袋麺市場はまさしく群雄割拠の様相を呈してきたのであります。
なんだかラーメン食べたくなってきましたね。

さてさて、トップシェアを獲るのに一番手っ取り早い方法とは?
それは、今までの常識をぶち破る商品を一番初めに市場へと投入することです。その成功例を一つ挙げるとすればスティーブジョブズのiPhone(アップル)ですかね。あの黒い服を毎日来ている人です。だからといって、毎日同じ服を着てもあの発想力は絶対にマネできません。いったい何着持ってたんだあの黒い服。
ジョブズは電話という機械を何でもできる端末に変えてしまった人です。その発想が恐ろしいし、何といってもデザインがクール!タップとかフリックとかスワイプとか、使用法なのに日本語へと訳しにくい用語を羅列しても定着させてしまうのは、強力な新星だけが持つ力技ですよ。

ハンバーガーのマクドナルドもシェア占有率70%の絶対的王者です。ロッテリアとかウェンディーズとか、最近とんと見なくなりましたね。ウェンディーズは撤退しちゃったのかな?この業界はモスバーガーがどうにかがんばっていますが、近年の経営は苦しいようです。
ハンバーガー業界はどうしてもマクドナルドの後追いになってしまうんですね。そうするとやはりトップには価格面で敵わない。フォロワーは辛いですねえ。

じゃあですね、何故一番初めに投入された商品はやすやすとトップシェアを獲れるのか?
つまり一番初めってことは、要するに敵がいないってことです。したい放題ですよね、敵がいないんですもの。シェアの占有率を上げつつ、ゆとりある価格で(原価と相談しながらですが)利益を拡大できます。その市場では唯一の商品・サービスですから、顧客も喜ぶ。ざっつうぃんうぃん。おぅいぇ。

もちろんご存知のように、トップシェアを獲ったからといって安泰ではありません。フォロワーからの激しい追撃をかわさなければならず、マーケットの規模を見誤ると隣接する別のマーケットとの対決になってしまう例もあります。
「立ち食いの量り売りステーキ」という魅力あるオリジナリティの高い業態を開発した『いきなりステーキ』も、あっという間にトップシェアを獲得したにもかかわらず、ここにきてグループ全体が苦戦する状況に陥っています。トップシェアが獲れれば40年くらい安泰じゃなかったの!?
その原因はコロナ禍だけではないのです。いったい何が起こっているのか?

それは『東洋経済』などを読んでご自分で探ってみてください(笑)。

前・後編にわたり、お読みいただきありがとうございます。今度機会がありましたらPriceについて書いてみたいですね。
ではみなさま、ごきげんようさようなら。