Z世代と退職代行からみる労働観(池田コーディネーター)

こんにちは。コーディネーターの池田です。                      最近の雇用と定着においては、切っても切れない2つのキーワードではないかと思います。子供のころ、おじさんたちからよく聞いていたフレーズ、「最近の若い者は~」っていうセリフの似たようなセリフを、今更ながらよく聞くようになりました。まぁ、もっとも、この題材でブログを書いてしまう私自身も、おじさんに片足どころか、両足どっぷりとつかってしまっているのでは?って思ってしまいますが、それは置いといて。

1.Z世代とは?

 28歳前後の年齢層までの世代が、Z世代に当たります。デジタルネイティブ、SNSネイティブとも呼ばれるZ世代は、タイパ(タイムパフォーマンス)コスパ(コストパフォ―マンス)重視の効率主義、強い仲間志向(自分を否定する人は、こちらから拒否)、プライベート重視、多様性を重んじるなど、従来の若者以上に特徴的な価値観を持っています。

 この価値観が、労働観とイコールになっており、嫌な人間関係の中、やりたくもない仕事に就くぐらいなら、大人からみると、「ドロップアウト」なのにもかかわらず、「キャリアアップ」というポジティブな言葉を活用し、転職する傾向にあります。

 Z世代を、社会を舐めている!っていう大人たちがいますが、ひょっとしたら、彼らは社会に対して悲観的になっているのかもしれません。将来の希望よりも目先をどうするかに葛藤しているようにも思いますが、実際に深く考えているかどうかは微妙な世代です。

 Z世代からすれば、このグルーピングも嫌う傾向にありますので、あくまでも皆がそうであるとは限らないので。

2.退職代行とは?

 そんなZ世代が、退職に使うのが退職代行です。

 民法では、原則として従業員は退職を希望する2週間前までに会社に申し出ることで、退職理由に関係なくいつでも自由に退職できると定められているので、非常に簡単に辞めることができるはずなのですが、なんとなく退職届をもっていくのも面倒だし、そこでも人とは関わりたくないから、退職代行を利用するとのことです。 

とにかく、退職できればそれでいいってところなので、権利主張(有休消化とか)もせずに、ただ退職できればそれでいい、未払い残業や有給休暇残日数はくれてやる、退職できるなら退職代行利用料の30,000円ぐらい現金でポーンって支払うっていう、非常にカジュアルな感覚で利用されるようになりました。

 昔は、ブラック企業からの脱却で使用されていた退職代行が、現在はそうではなく、退職代行会社とのやりとりも、ラインやDMで済む話なので、そこも利便性も若者のハートをがっちりととらえたのだと思います。 当社の顧問先も、退職代行会社からの連絡が来て、退職代行会社の失礼な対応に憤慨していましたが、逆に言うと、こういう辞め方がスタンダードになるかもしれません。
 ちなみに、先日、母校の教授と酒を飲み交わしたのですが、最近は、就職活動も間に入るコーディネーターの存在がいるようです。昔は、自らアポイントをとり、エントリーシートを書きまくって就職に結びつけたものですが、今は、コーディネーターの力を借りて、確実に就職に結びつける活動を行っているようです。

3.最近の価値観からみる労働観

 以下の図表は、リクルートマネジメントソリューションズがZ世代である新入社員に対して「仕事をするうえで重視すること」を聞いたアンケートの結果です。

 仕事に対して、自分がやりたいことで成長できるかどうかがキモとなっています。経営者は、これを踏まえたうえで、採用時や定期的な面談の機会に積極的に対話をし、傾聴し、目先の目標を設定して、クリアしていくために助言をすることが必要なのではないでしょうか。   特に目標設定が重要で、「目標は高く」というものではなく、「目標は達成できるもの」で設定したほうがいいみたいです。SNSネイティブな世代なので、失敗をせずに承認されることに、成長の要素が隠されているようです。
 世代がかけ離れると理解が難しいところもありますが、これをクリアすることにより、新たな人事制度、人的資本経営が構築されるのかもしれません。