こんにちは、よろず支援拠点コーディネーターの青山です。
やっとコロナが収束したかと思ったら、その後の物価上昇が止まりませんよね。食料品はどれもどんどん値上がりしていますし、車のガソリンはずっと高いまま、あと、電気代はまた上がるみたいですね。そんな中でよろずに来てくださる事業者の方々から、「いくらで売るといいか?」の価格設定についてのご相談が多くなっています。
今回のブログでは、一般的な価格の設定方法についてご説明させていただいたうえで、毎日買い物している私の消費者としての目線からも適正な価格について考えてみたいと思います。
まず、価格設定方法ですが、定食屋さんの看板メニュー「生姜焼き定食」をいくらにするか?を例に、以下3つの方法について説明させていただきます。
①コスト志向(原価重視)での設定
飲食店の原価率を念頭に置き、原価÷原価率で全体的に計算して販売価格を設定する方法が簡単ですが、看板メニューについては、提供する材料(それぞれ何グラム使うのか?も考える)や、製造にかかる水道光熱費、家賃や人件費、その他経費等をひとつずつ足して考えてみるのもよいかと思います。
例)材料代として300円(豚肉とソースで200円+野菜20円+ごはん20円+味噌汁30円+デザート30円)、それに一食にかかってくる経費500円(昨月の経費(人件費+水道光熱費+家賃+広告代+減価償却費+廃棄ロス等)×現時点での売価÷昨月の売上額 でざっくりと比例配分して算出してみてください)を足すと800円、そこに一皿あたりの手元に残ってほしい額200円を足して…1000円(税込み1,100円)にしよう!
どちらにしても原価を重視するので比較的計算しやすい価格設定法ですが、自店が売りたい価格で設定する方法なので、お客様に受け入れられるかどうかが不明です。自店・競合・顧客の中で「自店」を中心とした価格決定法です。
②需要志向での設定
需要重視で設定する場合、お客さんにモニターしてもらって「いくらなら食べたいか」を調査した結果で決めます。
例)当店の常連さんに「生姜焼き定食をいくらなら食べたいか?」アンケートを行ったところ、1,100円が平均値だったので、1,100円に決定!
お客さんの希望する価格設定であり、かかるコストや競合店等を基準にしていないので、喜ばれるかもしれませんが、採算がとれなくなる可能性があります。 自店・競合・顧客が市場にいた場合、「顧客」に焦点を当てた価格決定法です。
③競争(競合状況)志向での設定
競合重視での設定は、近隣の競合店の販売価格を調べ、世間並みに落ち着かせます。他店の価格を見て、同じような価格にする設定方法です。
例)ネットで「栃ナビ」や「グーグル」のクチコミ等を参照するほか、自分でも食べに行ってみて近隣競合店の生姜焼き定食の価格を調べたところ大体950円くらい→当店は雰囲気が良いし、近くにコンビニや弁当屋さんもないので他店よりちょっと高めの1,100円にしよう!
競合を基準にした価格決定の場合、競合店や新規参入店から簡単に影響を受けるので、激しい競争の中に身を置くことになります。自店・競合・顧客の中で、「競合」に焦点を当てた価格決定法です。尚、競合で価格を決める場合は、相場を崩し格安で販売するところが現れたらすぐに消耗戦になり、そうなると資本力の高い所が勝つことになります。
上記のように3つの価格設定方法には、どれもメリット・デメリットがあります。そのため3つそれぞれを満足させる価格、すなわち、①自店の採算が取れる価格かつ、②お客さんにリーズナブルと思ってもらえる価格かつ、③競合にも引けをとらない価格、が適正な価格と考えることができます。
次に、私個人の消費者目線での適正価格について述べさせていただきたいと思います。事業者であるよろずの相談者様は、「安いほうがお客様は喜ぶのでは?」とか、「値上げすると顧客が離れるのでは?」と考えて価格変更を躊躇なさる方が多いのですが、私が消費者として個人的に思うのは、
・安すぎもちょっと怖い
・高すぎと感じたら買わないけれども、高くてもきちんとした理由があれば買う
の二点です。
悲しいことですが物価上昇にも慣れてしまい、安いものを見かけると、失礼ながら「量が少ないのでは?」とか「以前より質が落ちているのでは?」とか「古いのでは?」とかとも思ってしまいます(個人の意見です)。
また、高すぎは買えませんが、質がよければリーズナブルな気がして「また買おう」と思います。 なので、安すぎも高すぎもダメだと思います。
今年版(2024年版)の『小規模企業白書』では、「適正な価格を設定するためには、足下の状況を見直し、自社が取り扱う個々の製品・商品・サービスを生み出す際にかかるコストを把握することが有効と考えられる」と書かれています。適正な価格を設定するために、まずは、ご自身の事業の現状把握を行い、かかっているコストを把握するところから始めてみてはいかがでしょうか?よろず支援拠点でそのお手伝いを行っておりますので、お気軽にお声かけください。
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