RPAを使ってみた(内山コーディネーター)

皆様、こんにちは。
栃木県よろず支援拠点コーディネーターの内山です。

佐野商工会議所サテライト(佐野商工会議所3F)で、毎週木曜日に経営全般、創業、事業計画策定、補助金などのご相談に対応させていただいております。お気軽に相談に来てください。

元々は家電メーカーで社内S Eをやっていたこともあり、I T関連は得意なのですが、この分野のご相談は少ないので、もっと増えてほしいという願いも込めて、本日は、DXに関連するRPAについて書きます。

1.D Xとは

近頃は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。

しかしながら、「そもそもDXとは何か?」「IT化やデジタル化とどう違うのか?」といった疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

D Xを声高に叫ばれている方からは、お叱りを受けそうですが、個人的には、「DX」という呼び名自体は流行り物のキーワード的なものと捉えています前回のブログで勝沼コーディネーターも同じようなことを書いていましたね。

私自身、DXという言葉を使うことはほとんどなく、I T活用の延長上にあるものとして認識していますが、改めて、定義を確認してみました。

【経済産業省による定義】
経済産業省「DX推進ガイドライン」において、DXは次のように定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
「データとデジタル技術を活用して」がなければ、通常の経営戦略策定プロセスと同じように見えます。最終的な目標・ゴールとしては、競争上の優位性を確立すること であり、その手段としてデータとデジタル技術をもっと活用しよう、といったところでしょうか。昔に比べ通信速度や計算速度が劇的に早くなり、ITでできることが広がり、事業環境によっては、確かに著しい影響をもたらすケースも増えています。

2.RPAとは

DXに関連するキーワードとして、IoT、AI、RPA、クラウド、モバイルなどがあげられることが多いです。このうちRPAは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の頭文字をとったものになります。ロボティック・プロセス・オートメーションという字面だけみると難解な印象を受けますが、多少なりともExcelでマクロ機能を使ったことがある方でしたら、マクロ機能の拡張版のようなものと受け取っってもらえればいいと思います。Microsoft製品にとどまることなく、Windows上で動く複数のアプリ間での連携が元のソフトを改良することなく可能になります。

3.実際に作成した業務フロー

実際に動かしてみないと、RPAがどんなものかよくわからないので、日常業務で行っているPC操作についてRPAでフローを作成し、自動化してみました。フローというのは、マクロ名、プログラム名に相当するものです。

ここで対象としたPC操作は
1.Webシステム上で、相談実績を入力
2.Excelで日報を作成

内容的には、1で細かい内容まで入力し、実績を管理。2はWebシステムに入力しない項目も含む1日の行動実績の記録といったような意味合いです。

Windows10,11などで使えるMicrosoft のPower Automateを使用して作成しました。

実際に作成したフローは、メインフロー:3行、サブフロー1:17行、サブフロー2:50行となりました。

コーディングに代わるものとして、左側から部品を選び、配置し、パラメーターなどを設定していくのですが、大した処理を書いてなくても行数が長くなる傾向です。

初めて利用したこともあり、ネットで調べながら作成したので、完成までには結構な時間がかかりましたが、次からはもっと短時間でできると思います。

従来通りのやり方だと、WebシステムからExcelへ、相談1件あたり少なくとも4回のコピペ、または直接入力が発生し、1日当たり6~8件×4=24~32回のコピペまたは入力が必要となるところ、RPAによる自動化では、Power Automateを立ち上げ該当フロー読み込み、フロー実行、日報を記載する日付を指定、日報ファイル(Excel)を指定の計4回程度のマウス操作で従来と同じ作業が完了します。私のよろず支援拠点での勤務日が週一のこともあり、時間短縮効果はそれほどなく、概ね自己満足の範疇ですが、楽するためなら努力を惜しまないが私のポリシーです。

4.実際作成してみて気づいたこと

  • 実際にフロー走らせるPC上で作成する。他のPCで作成してone driveで共有すればフロー自体は呼び出せますが、画面上の入力欄やクリックする位置などが実際の環境と異なることで、うまく動きません。
  • フローの保存場所がone driveなのでネットワークが遅いと読込に時間がかかります。そこそこのPCスペックも必要です。
  • Excelマクロの記録のようなレコーディング機能があるので、フロー作成時に活用できます。
  • Power automate自体の関数で簡単に対応できないものがあり、Excelとの住み分け、部分活用等考えなければいけない場合があります。
  • フロー実行中はマウスに触らない。

5.まとめ

DXという言葉に踊らされる必要はなく、競争上の優位性を確立するための手段の一つとして、捉えて頂ければと思います。PCを使った業務の中で、誰がやっても、同じ結果になる・同じ結果が求められる、途中の意思決定が不要、プロセスが付加価値を生まない、といった業務があるのあれば、RPA導入も業務改善方法の選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。