助成金やる前に、やることは結構ある(池田コーディネーター)

春の訪れを桜ではなく花粉で感じるコーディネーターの池田です。

 さて、我々社労士が常々意識しなければならないことは、助成金の動向と法改正です。新年度を迎え、新たな予算が確立すると、助成金情報が厚生労働省から発表されます。昨年度は、育児休業に直結するような法改正があり、それに伴い、育児介護休業規程整備を各企業は急ぎ整備したこともありますから、当該法改正に関連するような助成金相談が増えそうな感じがあります。

 共働き世帯が増え、育児を女性だけに担ってもらう時代ではなく、男性も育児に参加する時代になり、女性の管理職率や就労率向上を一層加速化するといった狙いもあります。

 助成金申請をすることで、世の流れ、国の方針を知ったうえで、お客様にサービスを行うことが社労士の役目でしょうが、最近は、助成金を活用し雇用の維持を図ろうとする経営者や、助成金優先で、労務管理そっちのけのただの助成金アドバイザー的な社労士も増え、世の流れを適切に把握し、業を生み出し、雇用を確保する社労士が少なくなってきたかなって思うこともあります。

 助成金が、経営する上で必要な資金源で、経営戦略も助成金ありきというのが昨今の助成金の意味合いになってきているのかもしれませんが、近年の助成金申請は非常にハードルが高いものになっていますので、慎重にならざるを得ないところです。

 私の仕事柄、厚生労働省に関連する助成金申請に関わりますが、中小企業診断士の先生方が関わる補助金申請とは若干違うような感覚があります。
 中小企業診断士の先生方が関わる補助金申請は、企業の将来性、これからの事業展開に向けて計画を策定し、採択を得るような流れです。やりたいことを形にする、非常に前向きな印象があります。

 社労士が関わる助成金申請は、なんとなく毛色が違って、就業規則や諸規程を確認し、内容を現行法以上の労働者側に恩恵がある内容に変更し、従業員代表者の確認を経て、さらには労基署にも確認をもらって、計画届を助成金申請窓口に申請し、さて実行と、ルール作りに準備に取られる時間が長い印象があります。そしてその計画もその通りに実行しないと助成金は得られません。

 このルール作りが重要で、安易な決定をしてしまうと、無駄な人件費を支払う事につながってしまいます。特に最低賃金の引き上げ、社会保険料等保険料の引き上げ等々のタイミングがあるので、より慎重に人件費のシュミレーションをはかりつつ、計画的に人事計画を練らなければなりません。

 安易に助成金受給のための就業規則を作成するのではなく、会社に見合った就業規則を作成し、会社の成長に合わせた人事計画を策定し、その計画上に助成金があるならば、助成金を活用するのが、本来の助成金受給の在り方です。

 まずは、会社に見合ったルール作りから始めていきましょう!