持続化補助金のコツ(中平コーディネーター)

皆さま、こんにちは。 栃木県よろず支援拠点コーディネーターの中平です。

コロナ後、多く事業者は、コロナ前より債務負担が大きくなっており、さらに売上高や利益を上げることが求められています。お一人で悩まず、一緒に悩んでいきたいと思っていますので、気軽にお声がけ下さい。

今回は、小規模事業者持続化補助金について書きましたので活用したいと考えている方はぜひお読みください。

1.そもそも持続化とは?

事業再構築補助金は、新型コロナ感染症や環境変化から、V字回復を目指すものです。ですから、再構築する市場は、将来有望な市場が望ましく<労働力と産業を成長産業に移動させ、業績のV字回復を目指します>が理想形です。

ものづくり補助金は、新商品・新サービスの革新的な取組により、差別化を図ってくださいというものです。ですから例えばものづくりであれば、中国の企業が同じ機械を入れたら競争力は上がりませんよね。<自社の職人技を機械化で革新的なサービスにつなげて、同じ機械を導入した中国企業に対しても差別化できます。>が理想型になるわけです。

一方、小規模事業者持続化補助金は、V字回復ではなく、じわじわ下がってきている業績に一石を投じ、下降を食い止め、業績の持続化を狙うものです。ですから<こんな自社の強みを活かした小規模事業者らしい新サービスを考えました。その為には、この機械が必要なのです、販路拡大が可能になります。こうして、相乗効果により全社業績のゆるやかな低下を防ぎ、業績の持続化を図ります。>が理想形となります。

 ◎持続化補助金 全国商工会連合会

 ◎持続化補助金 日本商工会議所

2.何故何回も落ちる人がいるのか

よろずで相談に乗っていますと、何回挑戦しても合格しなかったのに、同じ内容で、私のアドバイスで5回目で初めての合格という人もいました。一体何故なのでしょう。

何度も落ちる人の一番の特徴は、<とにかくこの機械がほしいの!が最初にあり、それだけしか書かない人>です。この場合の機械は『目的を達成するための手段』です。完全に抜けているのが『目的』です。『その為に機械が必要と書く』です。

でも同じ内容で、全く変わらず2回目に受かるということは良くあります。審査者の印象もあります。落ちる人のイメージは、自分のことばかり書いている。受かる人のイメージは、評価する人を想像して、見やすく、書くべき場所に、書くべきことだけをしっかり書いているというイメージですね。

3.手段と目的の取り違えをしない

中小企業庁の指導は『自社の強み』と『市場』を分析して、経営計画(戦略)を作って下さい。そこから小規模事業者らしい工夫の事業(目的)を生み出してください。その実行の為に、この機械や店舗改装、知ってもらう為のHP作成が必要(手段)と分けて考えることが重要です。

4回落ち続けた方には、「その欲しい機械で、あなたのお店らしい、新サービス(目的)を何か考えて欲しい」と私は言うでしょう。そのサービスは、経営者も無意識の内に自社の強みである対象顧客や市場ニーズを考えて生み出すものです。

だから、逆算をして書くのです。

①『新メニュー』を考えてもらう、②新メニューの顧客を想定する、③新メニューの市場
を想定する、④新メニューを自社の強みで説明してもらう、これが宿題です。
そして、強みと市場を分析して新メニューの顧客こそが、新たな経営計画ですと逆算して書く訳です。

4.流れるように書く

①自社の現状、②自社の強み、③市場分析、④経営計画 ~ この説明を1つ1つ独立して書く方がいます。違います。①→②→③→④は、1本の線でストーリーがつながっている必要があります。

だからこそ、先にメニューを決めてそこから逆算して①→②→③→④を書くのです。

そうすると、あ~ら不思議、ちゃんと1本の線でつながるのです。

そして⑤目的→⑥手段→⑦予想効果を書けば、全部が1つの線でつながります。

5.型という新しい姿

補助金は勿論、国としてやって欲しい事があり、私がそれをやります!!と手を挙げた人に良い計画から順番に点数をつけて(都道府県間の調整を行った上で)、税金で預かった資金を交付するものです。公募要領は筆記試験の試験問題ようなものです。

新しい資本主義ということで、国としてもやっていただきたいことが多くあり、その都度、補助金制度を作っていたら、費用がもったいないですよね。ですから、枠という形で、やって欲しいことが次々と追加されています。

小規模事業者持続化補助金で言えば、以下の表1のようなものがあります。ですが、新しい枠が必ずしも従来と同じ形で評価されるかどうかは判らないところがあります。例えば、創業枠は、本当の創業資金について、現状の自社分析ができない、課題の抽出や戦略がそこから導けないという欠点があります。又、他の条件と違って、賃金引上げ条件はどの補助金でも、未達の場合の補助金返却義務等がかせられていますから要注意です。

(図表1:小規模事業者持続化補助金の枠)

詳細を聞きたい方はぜひよろず支援拠点にご相談ください。

6.申請書が5枚程度から最大8枚になったのは何故

最新の表示では、<経営計画>及び<補助事業計画>(Ⅱ.経費明細表、Ⅲ.資金調達方法を除く)は最大8枚程度までとしてくださいとの付記があります。

平成30年度の事例のページ数は3枚です。その後5枚程度とされていたのが、現在3枚増加しています。これは、持続化給付金等の給付で、多くの事業者が補助金に目覚め、競争が激しくなっていることに加え、少しレベルを上げることによって一定水準を確保しようとするものと思われます。

7.どこが変わったのか

小規模事業者持続化補助金には、記載例が載せられています。これを5枚時代の記載例に新たに加わった、8枚時代の項目を考えることとします。

<経営計画>
1.企業概要
①今は2種類(部門別、上位商品別等)に、売上総利益も求めている。
②売上状況:売上の寒暖の差の傾向を説明。 
③業務状況:人員体制等。
2.顧客ニーズと市場の動向
①市場動向
市場全体の傾向、市場規模、増加率(出典記載)。
当店事業のマーケットの動向(店舗、オンライン等経路別分析)
現状から将来予想を書<現在分析から将来予想へ>
3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み
4.経営方針
強み、市場分析から導き出した今後の戦略を書く。
①売上向上策
②販路開拓策

<補助事業計画>
1.補助事業名
2.販路開拓等の取組内容
①本事業の目的(である新事業等を具体的に)書く
②そのために必要な手段を書く(費用説明も)
3.業務効率化(生産性向上)の取組内容
4.補助事業の効果
①定性的効果
②定量的効果(平均単価×人数等の分解と、補助事業と既存事業が分けられるなら分ける)

8.構造分析

(図表2:構造分析)

基本的にこの構造に従って書いてみて下さい。
その後、よろず支援拠点で内容を確認しアドバイスを行います。合格される方の多くは、3~4回のやりとりを経ています。

9.加点項目は全てゲット

先程述べたように、補助金の競争は激しくなっています。
ならば、採択されるには、1点でも加点項目を増やすことです。

(図表3:加点項目)

このブログを読んで小規模事業者持続化補助金に興味を持たれた方はぜひよろず支援拠点にご連絡ください。

皆様のご検討、ご成功、ご採択をお祈りいたします。